耐震診断について、お客さまからお問い合わせいただきました。その中からいくつかピックアップしたので、ご参考になれば幸いです。
Q1. 耐震診断の結果はどのように見ればよいですか?耐震診断を実施してもらったあとで、診断結果の数値によっては、対象の住宅を購入するかしないかの判断はどうしたら?
A1. 木造住宅の耐震診断では、現状の建物の基礎や構造材・仕上材などの仕様、接合方法や寸法、劣化状況などを現地や図面で調査し、専門の計算式(PCプログラム)により算定後、その結果の数値(上部構造評点といいます)から耐震性を判定します。
詳細な計算方法はここでは省略しますが、その計算結果から、以下のように区分されています。
- 上部構造評点
1.5以上:倒壊しない
1.0~1.5未満:一応倒壊しない
0.7~1.0未満:倒壊する可能性がある
0.7未満:倒壊する可能性が高い
上記は、あくまでも倒壊の「可能性」の判定なので、1.0未満だからといって必ず倒壊するわけでもなく、1.5以上であっても建物の損壊が絶対に発生しないという保証でもありません。「数値が低くなるほど、倒壊の可能性が高くなる。」とお考えください。
ただし、
- 「既存住宅売買かし保険」に加入する場合
- 住宅購入資金を「FLAT35融資」で借り入れする場合
- 住宅ローン減税など税制優遇制度で「耐震適合証明」が必要な場合
などは、上部構造評点が1.0以上あることが基本的な条件になります。
物件が「旧」耐震基準の建物の場合、お客さまが購入をするかどうかの判断にあたっては、
上記1から3に該当するような場合や、
耐震性を第一に重視する場合などは、
耐震補強工事を行うか、または「新」耐震基準を満たした物件の中から購入を選択することが望ましいと思います。
※旧耐震の建物は評点が1.0を満たさないケースは多いです。
(ちなみに昭和56年6月以降に建築確認を受けた建物は「新」耐震基準を満たしています。また平成12年6月にも建築基準法が改正され、現在の新築建物はこの日以降の耐震基準に基づいて建てられています。)
Q2. 耐震診断をしてもらうと、耐震補強工事にどのくらいの費用がかかるのか、その場で教えてもらうことは可能でしょうか?
A2. 耐震補強工事については、いろいろな工法や材料・手段などがあり、また既存の建物の状態によっても工法に向き不向きがあるため、方針を決めない状態で一概に〇〇円です、というのはなかなか難しいです。(いわゆるピンキリなのですね)
単純に構造的な補強を行うのか、内外装のリフォームなどと同時に行うのか、間取りの変更や耐震壁の追加も行うか、など補強工事の方針は多岐に渡り、その組み合わせによって工事費はかなり増減します。
一般的には、耐震診断により建物の現状の強度と、その建物が地震に耐えるために必要な強度を算定し、必要な強度が不足している場合に、その不足分を補うための補強を追加するのですが、その補強の材料や工法が様々あります。
- 専用の耐震金物や構造用パネルを使う
- 一般的な材料で壁を追加する
- 窓や障子を壁にする
- 筋交いを追加する、など
いままでの事例からですが、数十万円で済んだ場合や、数百万円かかるケースもあるので、現地調査と耐震診断・補強設計をしてみないと、確定的なところは判断が難しいというのが正直なところです。
お預かりする資料から判断する場合は、ますます概算の幅が広くなり、耐震補強だけでも、50~300万円位の間というお答えになってしまうことがあります。(範囲が広くて申し訳ありません)
ちなみに各自治体によっては、耐震診断や耐震補強工事に関する補助金制度があります。
今はまだ、旧耐震建物に限っての補助金の場合が多いのですが。
こちらは鹿沼市の例です。下記は市役所 HPです。
https://www.city.kanuma.tochigi.jp/0126/info-0000003603-0.html
三重県伊賀市の例では、耐震化支援の補助金は、旧耐震建物に限定していません。https://www.city.iga.lg.jp/0000006527.html
お住まいの自治体のホームページを覗いて見ることをぜひおすすめします。
当事務所の建築士は耐震診断と耐震改修に関する技術講習修了者ですので、耐震補助金の対象となっている業務のお引き受けが可能です。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
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